サステナビリティ志向の学生と企業を繋ぐ就活の在り方 -サステナビリティ思考の学生ほど就活に困っている?-

サステナビリティ志向の学生と企業を繋ぐ就活の在り方

年末になると急にブログを書こうとする者です。今回、今年2月にサステナブル・ブランド国際会議2021(SB国際会議)に参加してきた体験記と自分の今後の進路について考えていこうかなと思います。

はじめに

そもそもSB国際会議とはなんなのか。SB国際会議は12カ国で展開されている国際会議ネットワークの一つで、企業・自治体などのサステナビリティを議論、ネットワークを広げていく場として開催されています。

(参考:サステナブル・ブランド国際会議 2022 横浜

自分は2019年から横浜ユースとしてSB国際会議でボランティア参加をしており、その縁でセッションの枠をいただきました。何について話したのかというとタイトルにもあるとおり、サステナビリティ志向の学生と企業を繋ぐ就活の在り方についてです。

なぜ、就活をしてない自分がこの話題について発表しようとしたのか理由があります。それは、サステナに関わる活動をしている学生ほど就活に困っているのを目の当たりにしてきたからです。志高く活動してきた先輩たちが就活で困っているのです。

明らかにおかしいと思いました。他の学生に比べ、多くの活動をしてきた人たちがなぜ企業に評価されないのか。

そこで、SB国際会議の場を使って、その疑問や解決策を考えていこうと思いました。

セッション

セッションはファシリテーターに島崎 由真氏(One HR 共同代表)、パネリストに 
山本 武司氏(キリンビール 横浜工場 総務広報担当 部長補佐)と共に地域活動しているメンバーである川内美月を加え行いました。

目標

セッションを行う上で、目標を立てました。それは、学生と企業お互い離れている状態から議論を通してお互いが歩み寄ることで共に持続可能な社会を目指していく、ということです。(自分の考える持続可能な社会とはなんなのかを話した方が良い気がしますが割愛します)

サステナブル志向の学生と企業を繋ぐ就活の在り方」について考えていく その1

就活時、サステナビリティに関する活動している学生としていない学生とでは、

  • 企業を魅力に感じるポイント
  • 不安に感じるところ

が違うのではないかと考えました。この違いを無視し続ければ、SDGsの認知度が上がり活動していく人が増える中で学生と企業との距離がより大きく離れてしまうのではないかと思います。

 

では、実際違いがあるのか? 横浜市内の学生に向けてアンケートを行いました。

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図1:企業への魅力を感じる点

図1は活動の有無による企業への魅力を感じる点の分布を示しています。上位を見ると、活動の有無どちらとも「社内の雰囲気が良い」「成長できる環境がある」「多様な働き方の制度が整っている」に魅力を感じています。しかし、異なる点もある。活動をしている学生は「理念・ビジョンに共感できる」「社会課題解決のための製品・サービスがある」「CSRに力を入れている」に魅力を感じている傾向があったのです。

不安についても同様に調査した結果、「自分のやりたいこと、企業が目指しているものがすり合わせできるか」「自分が行ってきた活動が企業に評価・理解されるか」に対して活動している学生ほど不安に感じていることがわかりました。

今後、活動していく人が増えていけば就活時における学生の企業への価値観が変化していくと考えてもおかしくないでしょう。その変化や違いを無視してはならないと思います。

 

サステナブル志向の学生と企業を繋ぐ就活の在り方」について考えていく その2

アンケート調査だけでなくインタビュー形式で実際に学生の声を聞きました。

そこで見えてきたのは

SDGsに取り組んだことを面接で話さなかった ということです。その方はSDGsの取り組みを封印し、表現しやすいアルバイトの話をしたと述べていました。理由は、面接官が興味を持たないから。この事態は学生だけでなく企業にとってもマイナスでしかないと思います。

これに対してキリンビールの山本さんに「当社ではサステナビリティの活動をしている学生を評価する」と述べていただきました。

つまり、企業の姿勢だけの問題ではないということが見えてきたのです。

それは学生の伝え方の問題。学生は自分の活動の価値の言語化と伝える努力を怠ってはいけないということです。

セッションのまとめ

サステナビリティ志向の学生ほど就活に困っているのでは?という疑問から始まったセッションでした。調査した結果、サステナビリティのに関する活動有無で企業への魅力に感じる点に違いがあること、実際に困っていることがわかりました。これから持続可能な社会を作っていくのであれば、企業はサステナビリティ志向の学生への接し方を変えていく、学生は自分の活動を言語化し伝える努力をしていくことをし続けていかなければいけないと思います。このブログでは軽く書いていますが、詳しくは「就活で自分の活動を話せない」サステナビリティ志向の学生が困惑――問われる企業の対応 | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan

 

国際会議に登壇したことで

今回、国際会議という場を通じて自分の進路を考えることができました。考えた結果、博士課程に進もうかなと思いました。(めっちゃ皮肉っぽくなってるけど、研究したいからだからな)

これから、SDGsのような17個のゴールを達成すれば良いみたいな考え方では持続可能な社会は到底実現することは出来ないでしょう。目の前にどんな課題があるのかを常に考えていくこと(今回の就活など含めて)が本当の持続可能な社会に必要なのではないでしょうか


最後に今回のセッション、アンケートにご協力頂いた皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。